もち子の正解

愛人(貧乏)生活15年選手。もうそろそろ正解を決めていきたいです。

私の頭の中の野末陳平

野末陳平選挙ポスター

 今回の参議院議員選挙のポスターの中に御歳87の彼を見つけて驚いたのだが、野末陳平という人は私の記憶のところどころにややこしく登場する。

 

1973年生まれの私の人生初・陳平体験は小学生の時に出会った「税金の陳平」である。

顔は覚えていない。Wikipediaで調べると恐らく彼が51歳、1983年参議院選挙の時だ。確か彼の選挙ポスターの下部には漫画家が描いたイラストがあったはずで、他の候補者と違って不真面目なおっさんなんだろうと感じていた。そのうち近所に「税金の陳平」が乗った(と思われる)選挙カーが現れ、学校帰りの友人たちと共に「ゼイキン! チンペイ! ゼイキン! チンペイ!」と大声で手を振ったりしていた。単に「キン」と「チン」が面白くて叫びたかっただけだと思う。

 

 

その後私の頭の中では野末陳平の名前だけが一人歩きを始める。何故だか野末陳平野坂昭如が交錯し始めたのだ。二人とも名前だけはよく聞く気がするのだが何者かは知らない、といったまま私の10代は過ぎてゆく。

 

大島渚を殴ったのはどっちだったか?

野坂昭如&大島渚

 

 

火垂るの墓の原作者はどっちだったか?


火垂るの墓 完全保存版 [DVD]

 

 

 

どっちも野坂である

野坂昭如

 

 

 


20代の頃は映画『エロ事師たち』を見て原作を読みたくなり、
本屋の野末陳平棚前で必死に探す。が、これも野坂の方である。


新潮現代文学 73エロ事師たち 火垂るの墓 他

 

 

友人から借りた最狂下ネタテロ小説『てろてろ』の作者はどっちだったか?


てろてろ (1971年)

 

 

ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!!』に出ていたのはどっちだったか?

野坂昭如&ダウンタウン

 

 

石橋貴明を『オールナイトフジ』で殴ったのはどっちだったか?

野坂昭如&石橋貴明



全て野坂である。

野坂昭如



結局のところ私は野坂昭如を思う度、頭に野末陳平」という文字が浮かんでしまう性質になっていただけだった。

 

 

年月が過ぎ、陳平・再体験が訪れるのは私が30代の時。00年代。

毎週土曜にやっていたTOKYO MX談志・陳平の言いたい放だい』というトーク番組。昼前に何となくTVをつけるとやっていて寝ぼけ眼で見ていたのだが、この番組により私は立川談志毒蝮三太夫ら、一家言のあるおじ様達を好きになっていく。だが陳平に関しては「談志に相槌を打ってる人」としか見ておらず、小学生の頃に選挙カーに向かってキンチン叫んだ「税金の陳平」と同一人物だとはよもや思っていなかった。野坂と共に頭の中に浮かんでしまう「野末」の陳平だとも気付かないで見ていたのだからおかしな話だ。

TOKYO MXTV談志・陳平の言いたい放だい



 

何故、野坂昭如野末陳平が混ざり合ってしまうのか。

この二人には勘違いしてしまう共通点が多すぎる。放送作家であり、著書も多いし、政治家だったし、立川流の高座名も持ってるし。ラジオで二人の名前を耳にする時、共によく語られる仲間たちも同じ、永六輔立川談志毒蝮三太夫……。そりゃそうである。二人がかつて三木鶏郎主催・冗談工房(社長・永六輔)のメンバーであったことや、同窓で同業で盟友だった等をインターネットで知ったのは最近だ。

漫才コンビ「ワセダ中退・落第」
(出)Twitter小手指史朗 (@tenteco_dance)2019.5.5

 

 

 

インターネットで知識は得た、それでも「野坂・野末どっち病」はしぶとく治らない。

 

 私のラマン(彼)は歌謡曲をよく聞くのだが『マリリンモンロー・ノーリターン』をよくかける。その時私の頭の中では未だ「野末」の2文字が浮かんでしまう。


幻の名盤解放歌集 絶唱!野坂昭如 マリリン・モンロー・ノー・リターン

野坂である。野末は歌わない。

 

 

さらにややこしい事にラマン(彼)は荒木一郎ファンで、一緒に荒木一郎CDを聴いたり荒木一郎映画を見るのだが、私からしたら荒木と野坂の外見は同じであり、声も同じような、そこへ持ってきてお決まりの「いや野末?」までも割り込んで来て。野末か? 野坂か? 荒木か?

荒木一郎

自選ベスト15 いつか聴いた歌 [ 荒木一郎 ]


荒木である。

 

 

 

さらにさらに
岡留安則もビジュアル的にややこしい。

岡留安則
噂の眞相』編集長である。

 

 

 

 

 

でも、そろそろケリをつけられそうだ。

 

昨年、2018年2月TBSラジオ爆笑問題の日曜サンデー』のゲストは野末陳平、これが私の正真正銘、本当の野末陳平体験となった。
陳平の口から生き生きと語られる、永六輔青島幸男大橋巨泉野坂昭如らラジオ・テレビの創成期に活躍していた放送作家たちとの関係、思い出。80過ぎた方とはとても思えない、ついこの間のことのようにポンポンと矢継ぎ早に言葉が飛び出してくる。

 

立川談志との初対面は、松竹文化演芸場で野坂&野末が即席漫才コンビを組んだ時だったとか、

年老いてからの談志との、まるで小学生女子のような絶交話とか、

80歳過ぎて初めておっぱいパブに行った時の興奮とか、

 

とにかく引き込まれた。もう一度、陳平話を聴きたいと切に願う。後期高齢者とはとても思えない軽妙さと洒落の効いたトーク爆笑太田との掛け合いも最高だった。私の中で野末がくっきりと人格を持ち始めた。 


あの世に持っていくにはもったいない 陳平 ここだけの話

 

 

 

もう私は野坂で野末を思い起こさない。

長い年月がかかったが、今度の参議院議員選挙で彼はようやく私のものとなってくれそうだ。チン!

 

若き日の野末陳平 

野末陳平選挙ポスター2019
▲どうかお身体を大事に選挙を戦って欲しい